Management

ギターの保管管理方法について

テイラーギターのネックは弦をチューニングした状態でベストとなるように設計されています。
日本国内ではギターを弾かない際に都度弦を緩める習慣が多く見られますが、Taylor Guitarsでは、弾き終わるたびに弦を緩めてしまうとそのたびにネックに掛かる負荷が変化し、不安定なネックの状態が続くことになってしまい、場合によってはネックの捻じれ等を誘発する原因の一つともなると考えています。
そのため、Taylor Guitarsでは、弦を交換する時以外はチューニングを緩めずに保管・使用頂く事を前提としております。チューニングを緩めない場合、それによりブリッジ付近のボディトップが持ちあがってしまうと考えるユーザー様もいらっしゃいますが、このトラブルの多くの場合は、ブリッジ部分に掛かるテンションが直接的な原因ではなく、保管・使用環境の湿度・温度管理の不備が原因と考えます。

Taylor Guitarsの推奨するアコースティックギターに適した温湿度環境は、温度は摂氏21℃前後、湿度は50%前後(40%~60%)として考えており、また極端な変化なども避ける必要があります。40%を下回る乾燥した湿度状態や、60%を超える過度な湿度の環境下に置かれたギターは木が乾燥して縮む、もしくは吸水して膨れてしまいます。乾燥すればアコースティックギターのボディトップは内側方向へくぼむように変化し、吸水すれば膨れてブリッジ付近を中心にボディトップが持ち上がります。また、塗装面が木材の変化についていけずに、クラッキングを起こす場合もあります。ギターに理想的な湿度は50%前後とされますが、40%~60%の間を維持していれば大きなダメージが起きる事は少ないといえます。室内でギターを吊るしたりスタンドに立てて保管する場合は、部屋全体の湿度・温度コントロールが必要となります。暖房器具やエアコンは湿度の急激な変化を引き起こす原因となる事が多く、部屋全体の温度・湿度コントロールは難しいものです。適正に湿度管理ができギターの保管に最善の場所は、ある規模で外気を遮断できるギターケースの中と云えるでしょう。まずギターケースの中が40~60%の湿度になっているかをデジタル湿度計(アナログ湿度計は精度や表示時間の誤差などがあるため、正確なデジタル湿度計を推奨します)を使って確かめたうえで、問題がなければギター本体をケースの中で保管することをお勧めいたします。

その際のケースの種類は、安全性などの面で頑丈なハードケースがよりおすすめではありますが、強度での安全性を除けばギグバッグなどでも対応する事は可能です。また同時にケースの中に、市販されている湿度調整材などを同梱し保管する事で、ケース内の極端な湿度変化を防ぐことができるでしょう。※市販の湿度調整材などを使用する場合は、湿度調整材の使用注意などを守って使用ください。また、定期的にデジタル湿度計を使用して、ケース内や保管環境の湿度・温度を保ち続けることが重要です。

昨今の湿度の高くなる雨季~夏季にかけては、除湿機やその機能を有するエアコンなどの空調環境が効いた屋内でも湿度80~90%以上の日も多く、温度に関しても夏季のエアコンの作動していない室内では40℃を超える環境にもなり得ます。また温度だけに配慮し冷房器具まどを急激に稼働させた場合は、その極端な環境変化や送風口から出る風などにあたることも避けなければいけません。

日本国内は四季を通し一年中でアコースティックギターの保管環境に配慮する必要があり、雨季・夏季の高湿度環境下には、ユーザー様ご自身の個々の環境にて、デジタル湿度計による確認、除湿機・湿度調整材などの専用ツールを使用していただき、適正な温度と湿度による保管状態を保つ必要がございます。アコースティックギターのサウンドホール内側は無塗装のため、生木の状態にさらされている事を理解いただき、きちんとした管理下で保管をして頂く必要がございます。現実的には、人間の感じる体感以上のスピードで温度・湿度は急激に変化をしており、使い込まれ環境適応していない状態である新品もしくは数年程度のギターの場合は、その環境変化に気付いた時には既にギターが変化をしている事が多くあります。よって、体感ではなくデジタル温湿度計(針によるアナログ温湿度計や、安価なデジタル温湿度計は、実際の温度・湿度が表示されるのに時間的な誤差が大きく、急激な変化を正確に表示できていません)による判断が最低限必要となってきます。