News

2020.06.02[お知らせ]

Taylor Guitars が採用した新しい木材 “Urban Ash” とは

2020年のNAMMショーにおいて、Taylor Guitars は Builder’s Edition から新たに4モデルの発売を発表いたしました。Builder’s Edition は2018年にマスタービルダーのアンディ・パワーズが V-Class ブレーシングのデビューを記念してサウンド同様、手触り、弾き心地も素晴らしい特別な次世代のテイラーギターとして制作したコンセプトギターシリーズです。既に5モデルが発売となっておりましたが、新たに4モデルが加わり合計9モデルとなりました。今回新しく発表された4モデルのうちのひとつ、初めて300シリーズでのBuilder’s EditionとなったBuilder’s Edition 324ce にはサイド&バック材にこれまで聞いたことがない新しい木材 “Urban Ash” という木材が使用されています。

「都市の森」(Urban Forest)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 都市の森とは都市圏の道路や学校、公園などに景観・環境のためなど目的をもって植えられた樹木達です。現在アメリカの大きな都市部には推定55億本の樹木が植えられています。郊外を含めると700億本もの数と言われています。これらの樹木は木自体の寿命や悪天候による倒木、区画整理などによって除去しなければならないとき、管理している自治体は多くの場合伐採した木材を薪や肥料などの比較的価値の低い製品に変えるか、もしくは廃棄処分にしてきました。アフリカ・カメルーンでのEbony Project やハワイでのコア原生林の復元など、環境保護活動に熱心に取り組んできた Taylor Guitars は数年前から熱帯など特定の地域の森林生態系の負担を軽減するために、都市木材からギターを作るというアイディアを模索していました。

そこで Taylor Guitars は地元カリフォルニアの都市部の樹木管理を自治体から依頼されている企業 West Coast Arborists Inc(WCA)を訪問します。WCAは自治体からの要請に応じて木を取り除くほか、毎年18,000~20,000本もの植栽を行っている企業です。GPS追跡やデータを組み込んだ独自のソフトウェアで1千万本を超える樹木を1本1本管理するなど最先端の技術を持っています。また都市の樹木を保護するために「ストリートツリーリバイバル」という都市型木材リサイクル事業をたちあげるなど環境保護にも熱心に取り組んでいる企業です。

Taylor Guitars はWCAが伐採してストックしていた木材をいくつか持ち帰り、ギター製作に適したトーンウッドがあるか、重量・密度・安定性・乾燥特性などを検証しました。その結果マスタービルダーのアンディ・パワーズはひとつの木材を選びました。それは地元の街路樹としてポピュラーな Shamel Ash と呼ばれる木材で、南カリフォルニアの気候に適している樹木として60~70年前に植栽されたメキシコ原産のMexican Evergreen Ash でした。この木材はアッシュの一種ですが、エレキギターによく使われるSwanp Ashとは違います。 重量があり、密度が高く、加工がしやすい。そのトーンは「良質なヴィンテージのマホガニーを連想させる」とアンディ・パワーズをうならせました。そして Taylor Guitars はこの木材に ”Urban Ash” と名付けて新しいBuilder’s Editionのモデルに使用することにしました。

人類はこれまで熱帯の森林を乱獲して多くの種を絶滅に追いやってきました。使われてこなかった都市の森林の木材に新たな価値を持たせ有効利用することで、新たな産業の創造とともに熱帯の木材の使用量を減らすことができるでしょう。 Taylor Guitars とWCAの連携はまだ初期段階にありますが、両社は会社の歴史(創業した年がほぼ同じ)、革新的な考え方、および環境への責任の推進者としてビジネスを利用したいという意思など多くの共通点を持っています。「環境保護活動を長く続けていくためには、ボランティアではなくビジネスとして成り立つ仕組みを作ることが重要だ」と Taylor Guitars の創始者ボブ・テイラーはかねてから発言していました。Builder’s Edition 324ce への”Urban Ash” の使用はまだ序章に過ぎません。WCAとのパートナーシップは、新たな都会の木材の利用モデルの構築と、都市の森林保護への貢献につながると Taylor Guitars は考えています。