2021.12.28[お知らせ]
Taylor Guitars 保管環境に関してのお知らせ
昨今の日本国内における季節による気候の寒暖差や湿度変化は著しく、アコースティックギター管理環境における冬季期間中は、特に乾燥と低温に対する配慮が不可欠となります。今冬季は既に氷点下を記録する地域も出ており、2021~2022年の年越しには猛烈な寒さと乾燥が予想されております。
Taylor Guitarsの推奨するアコースティックギターに適した温湿度環境は、温度は摂氏21℃前後、湿度は50%前後(40%~60%)として考えており、また極端な変化なども避ける必要があります。
寒さの厳しくなる冬季は、エアコンなどの空調環境がない場合は、屋内でも摂氏10℃を下回る場合が多く、湿度に関しても即時に30%をも下回る環境になります。また温度だけに配慮し暖房器具を稼働させた場合は、室内温度は適温に保たれてはいても、暖房器具による更なる乾燥状況により湿度が40%を下回る場合はクラッキングなどを発生させる原因になります。
冬季の乾燥・低温環境下や、雨季・夏季の高湿度環境下には、ユーザー様ご自身の個々の保管環境にて、デジタル湿度計と湿度調整材などの専用器具を使用していただき、適正な温度と湿度による保管状態を保つ必要がございます。
なお、Taylor Guitarsは、弦を交換する時以外はチューニングを緩めずに保管・使用頂く事を前提としておりますが、乾燥によるボディの落ち込みやクラッキング、高湿度下におきるボディトップの膨らみは、ブリッジ部分に掛かるテンションなどが直接的な原因ではなく、保管・使用環境の湿度・温度管理の不備が原因と考えられます。また、アコースティックギターのサウンドホール内側は無塗装のため、生木の状態にさらされている事を理解いただき、きちんとした管理下で保管をして頂く必要がございます。現実的には、人間の感じる体感以上のスピードで温度・湿度は急激に変化をしており、使い込まれて環境適応していない状態である新品のギターは、その環境変化に気付いた時には既にギターが変化をしている事が多くあります。よって、体感ではなくデジタル温湿度計(針によるアナログ温湿度計や、安価なデジタル温湿度計は、実際の温度・湿度が表示されるのに時間的な誤差が大きく、急激な変化を正確に表示できていません)による判断が最低限必要となってきます。
冬季の乾燥した時期やエアコン冷暖房器具による過度な使用による除湿環境で、前述の温湿度環境から外れる環境下では、乾燥や低温環境ではボディが空気中に排水をしボディトップは内側方向へくぼむように変形をおこし、さらに進んだ場合や急激な変化が伴う場合は、塗装面が前述の木材の急激な変化についていけずにクラッキングを起こしてきます。また、60%を超える過度な湿度の環境下に置かれたギターの木材は、空気中の湿気から吸水してボディトップが膨張して外側に膨れボディトップは持ち上がり、弦高が高くなる現象が起きてしまいます。
先述のとおり、アコースティックギターに理想的な湿度は50%前後とされますが、40%~60%の間を維持していれば大きなダメージが起きる事は少ないといえます。室内でギターを吊るしたりスタンドに立てて保管する場合は、部屋全体の湿度・温度コントロールが必要となりますが、暖房器具やエアコン空調機器は湿度の急激な変化を引き起こす原因となる事が多く、部屋全体の温度・湿度コントロールは難しいものです。適正な湿度管理が可能でギターの保管に最善の場所は、ある規模で外気を遮断できるギターケースの中と云えるでしょう。まずギターケースの中が40~60%の湿度になっているかをデジタル湿度計を使用して確かめたうえで、問題がなければギター本体をケースの中で保管することをお勧めいたします。
その際のケースの種類は、安全性などの面で頑丈なハードケースがよりおすすめではありますが、強度での安全性を除けばギグバッグなどでも対応する事は可能です。また同時にケースの中に、市販されている湿度調整材などを同梱し保管する事で、ケース内の極端な湿度変化を防ぐことができるでしょう。※市販の湿度調整材などを使用する際には、湿度調整材の使用注意などを守って使用ください。また、定期的にデジタル湿度計を使用して、ケース内や保管環境の湿度・温度を保ち続けることが重要です。
この寒い冬に、ご自身の体調管理と併せまして、愛するアコースティック楽器の保管環境にもご配慮を頂けますと幸いです。